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アラン・ドロンと内側を向いた腕時計 / 映画「サムライ」より

 

 

映画「サムライ」は1967年製作のフランス映画で、主人公のジェフ・コステロを演じているのはアラン・ドロン

 

ジェフはグレーのフランネルスーツにブラックのネクタイ、その上にトレンチコートを纏い(後半はブラックのチェスターフィールドコート)、中折帽で決め込むという洒落た出で立ちです。そして時々目を引くのがBAUME&MERCIERの腕時計。

彼は腕時計を手首の内側に付けているんですが、それは何故かという疑問が僕の中にありました。今回はその理由について考察していきます。

 

https://cpb-us-w2.wpmucdn.com/blogs.iu.edu/dist/f/65/files/2017/09/Le-Samouria-Header-ra8bwm.jpg

https://www.offdaze.com/wp-content/uploads/2018/03/samourai-1967-04-g.jpg

映画「サムライ」より

 

 

まずはアラン・ドロンの略歴から見ていきます。

彼は複雑な家庭環境で育ち、少年更生施設を転々として少年時代を過ごします。そして17歳の時にフランス海軍に入隊し、カービン銃の使い方を教わります。彼はパラシュート部隊の一員として休戦協定が結ばれるまでの間、第一次インドシナ戦争で従軍していました。(除隊は彼が20歳の時)

この4年の従軍経験があるため、彼は銃の扱いが上手い事で有名です。

  

次に、アラン・ドロンがサムライで身につけていた物に注目してみます。

まずはジェフ・コステロのトレードマークと言えるトレンチコート。

このトレンチはAquascutumの物だという説が有力です。

https://i.skyrock.net/4411/47464411/pics/3111281917_2_5_ZDAm0bDy.jpg

映画「サムライ」より

 

今ではビジネスマン達によく着られているトレンチですが、元々は防水加工されたコットンで作られたコートで、兵士に愛用されていました。そのトレンチコート元祖のブランドこそがAquascutumなんです。

 

第一次世界対戦が勃発した1914年に、アクアスキュータムの代表的存在である「トレンチコート」の原型となるコートが開発される。最前線で戦う兵士たちは、優れた耐久性と防水性を称賛した。

https://otokomaeken.com/brand/31852

引用:アクアスキュータムの魅力とは?/ 男前研究所

  

Aqua=水 

scutum=盾 

 

つまりアラン・ドロンはただお洒落の為にトレンチを着ていたのではなく、

「自身の軍事経験で得た知識を用いて、殺しの任務を遂行する際の実用性を考え、ジェフにトレンチを着用させた」という可能性が考えられます。 

 

 

そして本題の腕時計

 

男性が腕時計を内側に付けるというのは、船乗り兵士たちが昔よくやっていました。外側に時計を付けた場合、船乗りの場合は狭い船内の行き来、また揺れなどで時計をぶつけて壊してしまう恐れがあるため、内側に付けていたのです。兵士も激しい動きや衝撃などから時計を保護するため内側に付けていました。

また狙撃手も内側に付けます。

彼らの場合は、時計を内側に付けておけば銃を構えた状態で時間をすぐ見れるからという理由、そして保護ガラスからの光の反射で他人に見つかるのを防ぐためという理由からです。

 

これらを参考にすると、アラン・ドロンが腕時計を内側に向けて着けていた理由は、

「ジェフが優れた殺し屋なら相手に見つからないようにするため、また時計を衝撃などで壊さないようにする為、内側に着けるだろう」という考えで着用していた可能性が考えられます。

 

腕時計を内側に付けるというのは、アラン・ドロンの従軍経験からのアイデアなのでしょうか?それともメルヴィル監督の指示か、何かのオマージュなのか?

とても興味深い所です。

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